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初代ビズ・ガーデン大賞グランプリ受賞者
         —————吉村治代さん

21年を経た庭のある暮らしを尋ねる
             撮影:山口幸一

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2018年08月17日
奈良県王寺
初代ビズ・ガーデン大賞グランプリ受賞者
         —————吉村治代さん

21年を経た庭のある暮らしを尋ねる
             撮影:山口幸一

1997年冬号(No.34)

全国規模で行われた日本初となるガーデンコンテストでした。
BISES創刊から5年になるこの年、吉村治代さんは「小さな庭部門」545作品の中でグランプリを受賞。 ガーデンのある充実したライフスタイルを反映させた庭として、強い印象を与えた作品。

「受賞からおよそ20年、作り変えた2代目の庭もそろそろリニューアルの時期を迎えています。 変わることなく、季節感を楽しみ続けてこられたのは夫とともに手をかけた庭あればこそですね。」

35坪のガーデンには季節を咲き継ぐ花木を植えてテラスからの眺めを暮らしの中心にしています。

吉村治代さん(56)のガーデンづくりの源流には「おじいさんの面白くなかった庭」があると言います。そこは子供が入ると叱られる場所で、花も地味で、そのうえ実もならない木が多かった。 マキ、マツ、スギ、ナンテン、かろうじてウメ。結婚から8年目、医者の夫の研究で2年間を過ごしたアメリカから帰国して、現在の場所に自宅を建てることになりました。 長い間あたためていた夢をいっぱい詰め込んだガーデンづくりに着手です。 ビズ・ガーデン大賞に応募したその庭では、ガーデンパーティをしたり、木陰で読書をしたり、香りの小さなトンネルを設けたりと、実際に日々の生活の場として活用できる場をデザインをしました。

初代の庭から変わらない要素としては、リビングから続く居心地の良いテラスが挙げられます。 今、テラスの正面にはミモザの大きな木があり、早春には球根花が咲き、キモッコウ、モッコウバラ、ポールズ・ヒマラヤンムスク、カシワバアジサイ、アガパンサスへと季節感がリレーしています。 庭作りでは、企画演出は治代さんで、植物のメンテナンスは、夫の昌佳さん(59)が受け持ちます。ご近所に住む庭友だちとおしゃべりするのは、“晴れたらテラス”が皆さんのお気に入りのスペースになっています。

フェンスに絡む圧倒的な美しさを誇るバラ。外壁の色にピッタリ調和しています。

リビングに続くテラスは、ミモザの木陰とオーニングの日よけ効果で居心地に留意しています。周囲に住宅が建ったので、テラスはパーティションで視線を遮り落ち着いた空間にしています。

葉影の向こうにはささやかな水音を立てる壁泉が設えられています。

昌佳さんは大阪の医師会のオーケストラでチェロを弾いています。40歳から始めたその腕前はオープンガーデンでも披露しています。一方、多芸多趣味な妻の治代さんは、体育会系の才を生かし50歳からクラシックバレエを始めました。新しい趣味のスタートに年齢は関係ない!

窓の外はガーデンの眺め。天井が吹き抜けになった伸びやかなリビングルームです。

向かって左から沼田惠子さん、福田美都子さん。ご近所に住む庭友だちで、皆さん、ビズ仲間だったそうです。かつては近くに素敵なガーデンショップがあったので、そこでいろいろなものを買ったり、アドバイスをもらったりして楽しかった。でも、そこもなくなってしまって…‥と、ちょっと淋しさもにじみます。

吉村治代さんと私、八木波奈子の記念のツーショット。



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執筆者プロフィール

ガーデニング誌『BISES』の元編集長。創刊から休刊までの146冊、25年間務めました。1997年流行語大賞トップ10に選ばれた「ガーデニング」は、私が全国に広めた言葉です。これはGARDENINGをカタカナにしたもので、造語ではありません。今では日本語として立派に定着しましたね。