編集部ブログ
八木 波奈子のブログ
- 2018年06月06日
- 第6回ビズ・ガーデン大賞グランプリ受賞
「橋野美智子さんの庭」訪問記(和歌山県) -
地方公務員の夫妻が畑地転用で作った驚きの大庭園
撮影:山口幸一
山の上まで続くミカンの段々畑を車窓に見ながら、ようやく列車は目的地の和歌山県・湯浅に到着しました。ここはミカン船伝説で語り継がれる豪商、紀伊國屋文左衛門の生誕の地とされています。
2016年に行われた第6回ビズ・ガーデン大賞グランプリを受賞された橋野美智子さんの庭は、小高い丘の上の住宅地にありました。小ぢんまりとしたガーデンゲートから一歩中に踏み入ったとたんに、思わずアッと声が出てしまいました。あのローカルな無人駅からわずか数分のところに、英国庭園かと見まごう大庭園が出現したのですから、驚きを禁じ得ませんでした。
橋野昭彦さん、美智子さん夫妻の自宅には隣接して200坪の畑が広がっていました。ご近所さん所有のこの畑地を購入出来た20年前の喜びは今も忘れません。この時から念願のガーデンづくりが始まったのです。2トン車、4トン車を使い分け、砂や土、牛糞などを運び、ユンボの力で徹底した土づくりに励みました。そして生コンクリートミキサーを相棒に数千個のレンガを積み上げ、夜は投光器の光で作業をつづけるという無我夢中のがんばりも忘れがたい思い出です。
庭作りでこうした重機を日常の友のように扱えた理由は、この辺りが田舎で、農家の友だちたちが何でも貸してくれたからと、昭彦さんは大らかに笑います。「スコップで手作業なんてやってたら、あんたたち死ぬよ、なんて言って、ユンボを1年も貸してくれたりね」
タイトルは「ガーデンセラピーの庭」
レンガ積みや膨大な植栽プランを含めた庭作りの主役は、実は妻・美智子さんです。その情熱は何ものをも凌駕する勢いだったようで、知識を得るためにはBISES(ビズ)も読みまくったけれど、海外の庭雑誌、図書館にあった園芸関係書などのほとんどを読み、独学でガーデニングを身につけていきました。BISESに掲載された英国の数多くの美しいガーデンは、美智子さんの庭作りの指針になりました。「宝石よりもレンガが好き」、ビズ・ガーデン大賞の応募用紙に書かれた美智子さんのこの言葉は、審査員たちの心をつかみました。
特別養護老人ホームの副園長を務める美智子さんの、ガーデンタイトルには「ガーデンセラピーの庭」とありました。庭は生きる力を与えてくれると実感する毎日です。この庭は無農薬・有機栽培で手入れしています。植物リスト
- バラ(197種類 215本)
- クレマチス(18種類)
- リュウゼツラン
- ニューサイラン
- ハナズオウフォレストファンシー
- ベニバナスモモ
- 西洋ニワトコ
- メラレウカ
- ペインテッドセージ
- メギ
- ディアボロ
- ハロラゲスネルトンブロンズ
- キャットミント
- アカンサス モリス
- キャットミント
- ペンステモン ハスカーレッド
- サルビアネモローサ カラドンナ
- シチリンチューム
- ラムズイヤー
- ヒペリカム
- カンナ
- アリウム
- アリウム ギガンチューム
- パイナップルリリー
- ジャーマンアイリス
- ピオニー
- セントランサス スノークラウド
- フウロソウ ジョンソンブルー
- ゴンフォスティグマ
昭彦さんの担当は芝生の管理。5月のヒメコウライシバは、見事な緑の絨毯となり、花々の色彩をより一層きれいに引き立てています。