ビズ・ガーデン大賞について
ビズ・ガーデン大賞
全国規模で行われる日本初のガーデンコンテストとして1997年に第一回が開催されました。以後、2000年から4年に一度、オリンピック・イヤーに開かれ、日本におけるガーデニングの普及に貢献。募集はプロフェッショナル、アマチュアを問わず行われ、ガーデン愛好家たちの一大イベントとなっていきました。応募は全て10枚の写真と文章によるレポートで審査する方式をとり、毎回ガーデン界に逸材を輩出する注目の舞台に成長
歴代のグランプリ受賞者紹介
時代空気を敏感に反映してきたグランプリ受賞作品!
第6回グランプリ(2016年)「ガーデンセラピーの庭」
橋野美智子さん――和歌山
橋野美智子さんの庭づくり歴は18年になります。特別養護老人ホームに副園長として勤務しながら、200坪のこの庭を作り上げました。庭全体が散策を目的にした構成でまとまり、歩調に合わせて変化する植栽の見事さと、バランスの良い生育ぶりが高く評価されました。ガーデン全体に安らぎ感と品格を醸し出している芝生はご主人の協力のたまものです。職場のホームに入居されている人たちをここにお招きすることもあり、皆さん解放感に満たされた笑顔を見せてくれます。“ガーデンは良きもの“、そのリラックス効果を実感する日々です。
1個ずつ手積みしたレンガの壁やベンチなどが植物とよく馴染んで、素晴らしい空間を創り出しました。美智子さんは「宝石よりもレンガが好き!」と笑います。
散策路の奥にはテラコッタの大鉢がフォーカルポイントになっています。歩を進めると、植物の緑の多様さに眼を奪われます。
散策路の奥にはテラコッタの大鉢がフォーカルポイントになっています。歩を進めると、植物の緑の多様さに眼を奪われます。
第5回グランプリ(2012年)「のびやかな子育ができる家と庭」
山崎亮子さん――北海道
「花と緑のある暮らし部門」にエントリーして、見事グランプリに輝いた山崎亮子さんは、庭を作り始めてから7年になります。600坪の庭に、木造の可愛い母屋が建っています。庭の一角には“ムーミンハウス”と名付けた子供の遊び場を作り、夢の広がるガーデン風景をまとめました。暮らしへの愛着が溢れる亮子さんの庭生活は、彼女自身の手によるイラストレーションで十分に語られています。まるで絵本から抜け出して来たような生活ぶりですが、実は今、亮子さんは原因も病名も分からないまま、体が自由に動かせなくなる病気になっています。庭の草花が亮子さんの力となりますように。
ムーミンハウスの前で、息子さんと。背後に続く森との境をつけず、大らかに、自然にと心配りをしたガーデンデザインです。実生活を描いた絵は、ディテールまで書き込まれているので、いつまで見ていても楽しい。
グランプリ授賞後に階段を緩やかなスロープに作り替えました。BISES102号「山崎亮子さんの体験的セラピーガーデン」に掲載。
グランプリ授賞後に階段を緩やかなスロープに作り替えました。BISES102号「山崎亮子さんの体験的セラピーガーデン」に掲載。
第4回グランプリ(2008年) 前田満見さん――神奈川・横浜
それまで「大きな庭部門」から選出されてきましたが、「小さな庭部門」から初のグランプリとなったのが主婦・前田さんの30坪の住宅街の庭です。お母様の影響で小学5年から、生け花を学び、自然に育つ植物にも興味をもった前田さん。「庭に置かれているものすべてに生活感がある。花だけでなく葉も楽しめ、四季いずれも美しい」と評価されました。その後、自身で撮影した写真と文による連載を本誌でスタート。50歳の節目を迎えた昨年、7年間の連載をまとめた『小さな庭で季節の花あそび』を刊行。「毎日忙しい私に、心穏やかな時間をくれる本」「庭づくりはもちろん、暮らし方、家族への想い、故郷への眼差しについて考える機会をもらった」など共感を呼んでいます。
小さな庭を得て15年。子育てをしながら、花咲く庭づくりを生活の一部として大切にする前田さん。季節の花のリースづくりや小さなコンテナで育てる野菜、食卓の花飾りなど、真似したい生活アイデアが豊富。
第3回グランプリ(2004年) 上野砂由紀さん――北海道・旭川
北海道旭川で100年続く米農家として歩んできた「上野ファーム」。”農地に花を“と母の悦子さんとともに一からチャレンジした庭は、植栽の充実とデザインの巧みさに日本の庭もここまで来た!と高い完成度が評価されました。また都市と農村の交流の場としてガーデンを活用するという考えも庭の可能性を広げるものとして注目されました。その後、砂由紀さんは本誌で連載をスタート。2006年には倉本聰脚本の連続テレビドラマ『風のガーデン』の庭デザイン・制作に抜擢され活躍の場を広げていきます。グランプリ受賞当時は1,600坪だった庭も、昨年プレオープンした新エリア「ノームの庭」を含め、約2倍に拡大。年間6万人の来園者が訪れる、北海道を代表する観光ガーデンへと生長しています。
年を経て株を充実させた植物と新しい植物が融合し、毎年進化する上野ファーム。庭を舞台にしたイベントにも次々チャレンジし活気があります。動物たちがガーデンを行き交う姿も名物になりました。
第2回グランプリ(2000年) 真島康雄さん――福岡・久留米
45坪の庭を全面ウッドデッキにするという大胆かつ機能的な庭で、化学農薬をいっさい使わない栽培法を独自に編み出した真島さん。徹底的な観察をもとに、先進的なガーデニングを展開した点も評価されました。受賞後、副賞の英国旅行をきっかけにオールドローズの栽培に目覚め、やがて本誌で「Dr.真島康雄のバラの診察室」を連載。オーガニックにこだわり、効率的なバラ栽培法の研究を進めました。2012年に『簡単、だけど科学的 完全オーガニック バラ栽培』を出版。肝臓や脳梗塞・心筋梗塞の予知・予防のエコー専門医として活躍しながら、バラを美しく、安全に、無理せず育てるための栽培法を日々進化させています。今や、オーガニック栽培の心強いリーダー的存在です。
受賞当時、自宅だった場所をクリニックに替え、近くに新居を建設。コンサバトリーは待合室に、無農薬で育み続けているバラの庭は患者さんに開放しています。まさにガーデンセラピーを実践するお医者さまです。